NEWS SCHOOL 【コラム】紅葉の秋:野山が錦に染まり、誰もが詩人になれる秋 2023.10.09 《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.8 》 日に日に秋が深まってくると、街や森の木々が色づきはじめます。赤や黄色、橙色など、さまざまな色に葉を変化させて、私たちの目を楽しませてくれます。 * 「紅葉」は、野山の木の葉が赤や黄色に色づいていく様子を表す言葉で、そのような状態になっていくことを「もみいづる」「もみづる」とも言い、俳句などで季語として使われます。 一般的には赤くても黄色くても紅葉(こうよう)と表現しますが、正しくは赤色に色づくことを「紅葉(こうよう)」、黄色に色づくことを「黄葉(こうよう)」と言います。 それではなぜ、二つの色に分かれるのでしょうか? * 木の葉には「クロロフィル」という緑色の色素と「カロチノイド」という黄色の色素が含まれています。春と夏の日差しの良い日は、協力して光合成を行ないます。この時点では「クロロフィル(緑)」のほうが強いので、葉の色は緑です。そして、秋になり日差しが弱くなると、先に「クロロフィル(緑)」が分解さて、「カロチノイド(黄)」だけが残ります。葉の色は黄になり、これが黄葉です。 さらに、モミジなど紅葉する植物は、葉の中に糖分が増え、「アントシアン」という赤い色素が合成されます。葉の色は赤になり、これが紅葉です。さらに複雑な変化については、別の機会に。 * 日本は落葉広葉樹の種類が多く、赤色、黄色、黄褐色、オレンジ色など様々な色の紅葉を見ることが出来ます。紅葉する樹木として最も代表的なのは、葉が赤色になるイロハモミジ(イロハカエデ)です。 イロハモミジは日本各地に自生しており、また公園、庭園、寺社にも植えられてもいます。葉が黄色になる樹木ではイチョウが代表的です。日本では街路樹などでしばしば見かけますが、その落ち葉は黄金の絨毯のようです。葉が黄褐色になる樹木としては、日本の森林に多く自生しているコナラ、ブナ、アベマキなどがあります。 * 日本の森林には落葉樹とともに常緑樹も茂っているので、秋には緑色も加えた彩りを見ることができ、様々な色が混じり合った美しさが、日本の紅葉の魅力と言えます。 木々の葉の色鮮やかな秋の風景は、今も昔も変わらず人のこころをとらえますが、よくよく眺めてみると、紅葉は足下からはじまっていることに気づかされます。木々が色づくもっと前。夏も盛りを過ぎたころ、草たちが涼やかな風をうけて「一足お先に」とでも言いたげに、足下を錦の秋に変えてゆきます。写真を撮った尾瀬ヶ原などでは、目をみはるばかりです。 * ひと雨ごとに色づきはじめた草紅葉(くさもみじ)が野の花に入り混じった景色は、ほのかにあわれを誘うのか、秋の野をいっそう美しく魅せてくれます。木々の紅葉とは違って、露をおいてゆっくり色づいてゆく草紅葉の姿には、ため息がもれるばかりです。 * 紅葉の散り際の儚い美に惹かれて、人は紅葉を愛でに足を運ぶのかもしれません。それは、春に桜を愛でるのにも似たこころのようにも思います。 四季の移ろいを感じられる国で、その移ろいを愛でる「心のゆとり」を持てることが、いかに幸せなことであるかを感じながら、この秋は「紅葉狩り」に出かけてみませんか? 『 古寺に 灯のともりたる 紅葉哉 』 (正岡子規) * ■秋のシーズンコレクション特集 ■レッド(赤)系のプリザーブドフラワー特集 NEW OLD ツイート