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【コラム】1月 正月を彩るのは、「歳寒三友」松竹梅?

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.23 》

松竹梅

一年の始まりとなる一月。一月の代表的な和風月名は、「睦月(むつき)」です。一月を「睦月」と呼ぶのはなぜ? 睦月は、「睦び月(むつびづき)」が略されたものというのが、一般的な説です。親睦会というように「睦 (むつ)ぶ」とは、仲よくするという意味があり、新年を祝って、家族や親族が集まり、睦び親しむ月だからといわれています。

一月のことを「正月」ともいいます。では一月と正月にはどんな違いがあるのでしょう。単なる別称であって違いはないと思うのですが、そうではないようです。

一月は一年の最初のひと月です。それに対して正月は新年に年神様をお迎えしてお祝いするための行事を行う期間です。普通、一日から三日までを三が日、七日まで(関西は十五日まで)を松の内となっています。この元日からの期間を「大正月」とも称し、それに対して十五日を「小正月」(二十日に「小 正月」を行う地域もあります)といって、正月の行事を締めくくる日となります。「小正月」までが正月で、それが過ぎたら正月とは言わないのです。つまり正月は、一月全てではないのです。

そんな睦月のなかでもおめでたい行事のお正月は、それにふさわしい花の飾りがあります。門松やしめ縄などの正月飾りは、家内安全や五穀豊穣などのご利益をもたらす年神さまを迎え入れる目印として設置するものです。また、新年のはじまりを祝うお正月には、掃除の行き届いたきれいなお部屋に、幸運を願って縁起の良い花を室内に飾る「おもてなし」の花もあります。

歳寒三友横

縁起の良い組み合わせとして「松・竹・梅」があります。 松竹梅の起源は、中国・宋時代に始まった文人画の画題「歳寒三友」(右図 : 歳寒三友図横披、観峰館蔵)です。「歳寒三友(さいかんさんゆう)」の意味とし「歳寒」は寒い季節つまり冬を示し、「三友」はその寒い季節にも立派に緑を茂らせる松と竹、綺麗な花を咲かせる梅を示しています。「厳しい寒い季節にも耐える三つの友」として、文人の理想とされる「清廉・潔白・節操」を表現する画題として好まれ、冬の寒さの中でも美しい松竹梅が好んで描かれたのです。

平安時代に文人画と「歳寒三友」が日本に伝わり、日本の風土や植物の伝承などと習合して、縁起のよい植物の組み合わせとなり、下の図のように着物の文様にも使われてきました。縁起が良いとする「松」「竹」「梅」の象徴的な意味合いは、次のような思いと願いが隠されています。

「松」は、お正月を別名「松の節句」と呼ぶように、神様の依り代となって邪気を払う重要な役割を担っています。常緑樹で冬でも葉を落とさず青々としている松は、不老不死の象徴でもあります。 「竹」は、天に向かって真直ぐに伸び、生命力と健康の象徴とされます。また秩序正しく等間隔にできる節目が、節操のある成長を意味し、邪気を払うことで家内安全や無病息災の願いがこめられます。

「梅」は寒い冬に最も早く花を咲かせるため、希望を象徴します。また梅には「高潔」「節操」「清純」の意味があり、紅白の花を咲かせることも縁起がよい花とされてきました。

松竹梅の意味を理解したところで、お部屋を掃除して、四君子のひとつ蘭の花を飾り、お正月には家族や友達と睦び親しんで過ごしましょう。 良いお年をお迎えください。

着物の文様

「松」は、お正月を別名「松の節句」と呼ぶように、神様の依り代となって邪気を払う重要な役割を担っています。常緑樹で冬でも葉を落とさず青々としている松は、不老不死の象徴でもあります。

「竹」は、天に向かって真直ぐに伸び、生命力と健康の象徴とされます。また秩序正しく等間隔にできる節目が、節操のある成長を意味し、 邪気を払うことで家内安全や無病息災の願いがこめられます。

「梅」は寒い冬に最も早く花を咲かせるため、希望を象徴します。また梅には「高潔」「節操」「清純」の意味があり、紅白の花を咲かせることも縁起がよい花とされてきました。

松竹梅の意味を理解したところで、お部屋を掃除して、四君子のひとつ蘭の花を飾り、お正月には家族や友達と睦び親しんで過ごしましょう。

良いお年をお迎えください。

2025 お正月飾り 迎春ギフト

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【12.28】お正月花レッスン開催

毎年恒例!お正月花レッスンを今年も開催いたします。

■日時:12月28日(土)①10:30 / ②14:00

■場所:ベル・フルールフラワーデザインスクール 銀座校

〒104-0061 東京都中央区銀座1-20-11

■参加費:18,000円(税別)

ラグジュアリーな空間で新年を迎えるにふさわしいお正月飾りを、市場直送の新鮮な松や菊、蘭などを使いアレンジメントしていただけます。
講師は今野政代学長と今野亮平副学長が担当です。

ご予約はこちら>>CONTACT | Belles Fleurs Tokyo プリザーブドフラワーショップ&スクール

DISPLAY

ビジネスチャンスEXPO in TOKYOに出展します!

イベント詳細
◾️ 会場:東京ビッグサイト 東1ホール
◾️ 日程:2024年12月4日(水)・5日(木)
◾️時間:10:00~17:00
◾️ 入場無料

様々な分野の企業が集結し、高い技術力と新しいアイデアが交差する展示会。
デザイン性あふれるプリザーブドフラワーアレンジメント」 を多数ご紹介いたします。
お手入れ不要で美しさが続くプリザーブドフラワーの魅力を、ぜひ直接お確かめください。
皆さまとの出会いを楽しみにしております!

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【コラム】12月 冬至とブッシュ・ド・ノエルとクリスマス

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.22 》

ノルウェーの森

 師走の12月。街のデコレーションはクリスマスツリーやイルミネーションに彩られ、一気にクリスマスムードとなり、あわただしい歳の瀬へと気持ちが向いてしまう日々です。「クリスマス」というワードを聞くだけで華やいだ気分になります。また12月は、二十四節気のひとつ「冬至」を迎えます。冬至と言えば柚子湯にかぼちゃですね。

でもクリスマスと冬至とは、日が近いというだけではなく、とても深いつながりがあります。クリスマスケーキと柚子湯とのつながりとは何?です。

冬至は、一年のなかで最も夜が長く、最も昼が短い日です。一年の中で昼が最も短いということは、冬至の翌日から日照時間が長くなっていくということです。この日を境に太陽の力が再び蘇る日とされ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われてきました。

ブッシュ・ド・ノエル

北欧には、冬至のお祭りユール(スウェーデン語: jul、英語: yule)があります。古代ヨーロッパのゲルマン民族やヴァイキングの間で冬至の頃に行われたお祭りのことで、今日でもクリスマスのことをユールと呼んでいます。

  ユールの祭りでは、森から大きな木を伐りだし、一族で家まで運び暖炉で根元からゆっくり燃やします。この薪には魔力があるとされ、冬至を境に太陽が夜の闇に勝るよう輝きを助ける薪とされていたのです。このユール・ログ(ユールの丸太)は、冬でも枯れない常緑樹の樫の木が使われ、大地に感謝をして翌年の豊作を祈ったのです。

 樹木信仰が強かったドイツでも、キリスト教の勢力が強くなるに従い、ユール・ログの樫の木は、キリスト教の三位一体(父と子と精霊)の三角形を表わす「モミの木」へと替えられていきます。冬至の祭りユールは、クリスマスと融合して、モミの木がクリスマスツリーとして飾られるようになります。

 ユール・ログの薪の風習は、中世以降にヨーロッパ各地に伝わり、1225日の降誕祭(クリスマス)の朝に火をつけて、16日の公現祭まで「十二夜」を燃やし続ける風習となりましたが、19世紀に廃れてしまいました。この大きな丸太のユール・ログを象ったものが、クリスマスケーキの定番「ブッシュ・ド・ノエル」なのです。

ヴィクトリア女王クリスマス

 また、クリスマスツリーが初めて飾られたのは1419年、ドイツのフライブルクの精霊救貧院だと言われています。そしてクリスマスツリーは、19世紀にイギリスのヴィクトリア女王の夫であるアルバート王子によって紹介され、英国社会に広まり、次いで全世界に広まったとされています。クリスマスツリーを囲む ヴィクトリア女王一家の様子が描かれた記事が1848年にイギリスの新聞に掲載され(左図参照)王室の平和な家庭像が国民に広く紹介されました。

北欧で大切にされている冬至の祭りが、日本では柚子湯やかぼちゃを食す行事となり、それがクリスマスにも関わっていると思うと、なんとも世界の繋がりを感じます。では今年のクリスマスは、クリスマスの飾りと、ブッシュ・ド・ノエルを用意して、太陽への感謝に「一陽来復(いちようらいふく)」を願ってお過ごしください。

クリスマスコレクション

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【11.9】つなぐ-サンクスイベント2024-にてワークショップ開催

富山県で100年以上続く鋳物製造の会社「能作」のサンクスイベントにて、ベル・フルールがコラボレーションし、ワークショップを行います。

能作の代表作である錫製の「KAGO」を1度は目にされたことがあるのではないでしょうか。

錫とプリザーブドフラワーという今までにないアレンジメントを、イベント限定で制作していただけます。

イベント当日の講師は、今野亮平が担当いたします。

11月8日(金)までwebでご予約可能となっており、お席の状況によっては当日ご案内も可能です。

他にも箸置きやプレートが作れるワークショップや出張わけあり市など、魅力的な内容のサンクスイベントとなっています。

なかなか体験できない内容になっておりますので、是非ともお越しください。

皆様のご来場をお待ちしております。

「つなぐ-能作サンクスイベント2024-」

■日時:11月9日(土) 10:15~19:00

■場所:3×3Lab Future(さんさんラボ フューチャー)

千代田区大手町1-1-2 大手門タワー・ENEOSビル1階

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【発売中】2024冬のシーズンコレクション”Passion”

豊かな四季を表現した「シーズン限定コレクション」がスタートいたしました。
春夏秋冬に合わせてベル・フルールが「今」だけのデザインをご提案いたします。
すべて数量限定のプレミアムな商品です。2024年冬のテーマは「Passion(パッシオン:情熱)」。

「深紅」「ピンク」「パープル」の花々にゴールドのアクセントを加えたアレンジが、
冬の空間を華やかに彩り、エレガントな雰囲気を演出します。

各店舗・オンラインストアにて販売中です。

■冬のシーズンコレクション詳細はこちら

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【12.7】クリスマス特別レッスン

クリスマスの飾りが街を彩るこの頃。

生花のコニファーの香りにつつまれる、いつもと違うクリスマス。

今年はご自身でリースを作りませんか?

満席必須の人気レッスンですので、お早めにご予約ください。

■日程:12月7日(土)
■時間:10:30 / 14:00
■場所:ベル・フルールフラワーデザインスクール 銀座校
■定員:各回20名
■参加費:19,800円(税込)

※ベル・フルール生からご紹介の方限定18,700円(税込)

お申し込みの際にご紹介者名をご記入の方が対象となります。

参加ご希望の方は、以下お問い合わせフォームより、ご希望日時を記載の上お申し付けください。

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【11.30~12.1】クリスマス親子レッスン

ベル・フルール初の「クリスマス親子レッスン」を開催!
生花のコニファーを使い、キャンドルアレンジメントを作ります。
松ぼっくりや姫リンゴ、素敵なリボンも選んでデコレーション。
手作りアレンジでクリスマスを迎える準備を始めましょう。

●場所:ベル・フルールフラワーデザインスクール 銀座校
●日程:11月30日(土)・12月 1日(日)
●時間:10:30 / 14:00
●定員:8組(2人1組)
●参加費:4,400円(税込)

※参考サイズ:約幅35㎝×奥行20㎝×高さ30㎝

満員御礼につき、受付終了いたしました。

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【11.17】クリスマスリースワークショップ開催 ジェイアール名古屋タカシマヤ

ジェイアール名古屋タカシマヤにて、クリスマス限定ワークショップを開催いたします。

「クリスマスを彩るハーフムーンリース」

クリスマスを前に針葉樹を使用した本格派リースを、人気のプリザーブドフラワーでハンドメイドしてみませんか。
初心者の方にも丁寧にレクチャーしますのでぜひご参加ください。
リボンは、当日お好みのものをお選びいただけます。

毎回、人気のため満席になるワークショップですので、ご興味ある方はお早めにお申し込みください。

■場所:ジェイアール名古屋タカシマヤ ローズパティオ9階
■予約・問い合わせ:052-566-8488 (ベル・フルール店頭直通:担当林・石井)

■日程:11月17日(日)
■時間:11時~ / 13時~ / 15時~
■定員:6名
■参加費:8,800円(税込)
■サイズ:約直径22cm×厚み6cm

※10月26日(土)午前10時より受付開始

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【祝】2024年フラワー装飾技能士合格!

ベル・フルールでは2006年から約400名の合格者を輩出し、資格コースの中でも特に人気の「フラワー装飾技能士コース」
2025年度受験者募集中です。

一度取得すると永久ライセンスとなるこの資格は、フラワーアレンジメントの基礎と
技術が同時に身に付く資格で、将来お花に関わる仕事を望む方だけでなく
基礎力を上げたい方にも人気の資格となっております。

今年も3級~1級まで多くの方に受講いただき、合計25名の合格者を輩出いたしました。

ベル・フルール独自のフォローアップレッスンで、苦手克服と試験対策も充実。

フラワー装飾技能士を目指す方はもちろん、初心者の方、これからのステップアップのために
資格をお考えの方もまずは体験レッスンへお越しください。
(フラワー装飾技能士1級希望の方は、スキルチェックを行います)

憧れの永久ライセンスを自らの手に!

※フラワー装飾技能士1級希望の方は体験レッスンではなく、別メニューになります。

 「その他・お問い合わせ」にフラワー装飾技能士1級希望の旨を記載ください。

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【コラム】11月 霜月 紅葉と色々

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.21 》

落ち葉

 11月の旧暦・和風月名は「霜月(しもつき)」。文字通り、霜が降る月という意の「霜降月(しもふりつき)」の略で「霜月」となりました。旧暦の11月は、現在の12月頃にあたるので、霜が降りる時でもあったのです。今では地球温暖化で11月に霜が降りる地域も少なくなりましたが、徐々に冬の気配を感じる11月ではあります。

 11月の行事には、文化の日や七五三など多くの行事がありますが、やはり楽しみなのは紅葉狩りではないでしょうか。

今も昔も変わらず、紅葉の美しさは人の心を惹きつけるものです。『万葉集』に歌われた「黄葉(もみぢ)」は、黄色が強調されていました。時代が進み、平安時代の『古今集』には「紅葉(もみぢ)」と書かれ、赤の鮮やかさが多く歌われていますが、黄葉も紅葉も全て「もみじ」として愛でて心楽しむ姿は、現代も変わりません。

土佐派の源氏物語画帖メトロポリタン美術館

 では落葉樹の葉は、黄や赤にどうして変化するのか。化学変化のお話は別の機会として、ひとこと言えることは、「樹木が生き残るための冬支度」という事です。舞い降りる落ち葉や、踏みしめる落ち葉に、心惹かれるのは、木々自身の癒しの声を聴くからかもしれません。

 今流行している『源氏物語』にも紅葉が出てきます。源氏物語五十四帖の巻の一つ。第7帖に「紅葉賀(もみじのが)」があります。(右図:源氏物語画帖紅葉賀、メトロポリタン美術館)主人公の光源氏18歳の秋から19歳の秋までの1年の出来事を描いた巻です。光源氏は頭中将と青海波の舞を舞いながら御簾の奥の藤壺へ視線を送り、藤壺も一瞬罪の意識を離れて源氏の美貌を認める。光源氏と藤壺の死ぬまで持っていく秘密の話となっています。

今日では紅葉というと華やかな雰囲気ですが、当時の人々は紅葉の赤に無常(人生のはかなさ)を感じ、散る紅葉はやがて訪れる冬の寂しさを、紫式部は「紅葉賀」に重ねたのではと思うのです。

そんな平安の雅な紅葉の秋ですが、もう一つの秋の赤は、別の顔で出会えます。都会の郊外でも、車で30分も走らせれば、ひなびて静かな里山に行くことが出来ます。稲刈りを終えた田んぼや、ススキの穂が銀色になびき、少し冷たい空気が身にまとう澄んだ風景です。

カラスウリ

 雑木林の囲まれた谷戸(やと)では、紅葉と共に、朱や赤や黄の実でも彩られます。里山を散歩すると、残り柿やミヤマガマズミ、ヒヨドリジョウゴ、サルトリイバラなど多くの実が目に飛び込んだ来ます。熟すと次々に鳥や獣たちの餌となり、真冬の頃には実はなくなってしまう赤い実たち。そんな中で、竹やぶや木々の小枝に絡みついた烏瓜(カラスウリ)は、真冬になっても赤い実がよく目立っています。

どうしてこんなにも真っ赤に。ゆらゆらと燃えているのだろう。寒々と枯れ細る藪の中に、真っ赤なカラスウリの実を見つけると、鮮やかな朱の色が意思のような強さを宿している気がします。

現在は、小室真子さんになった秋篠宮家の長女眞子さまの歌に、

烏瓜その実は冴ゆる朱の色に染まりてゆけり深まる秋に

一夜限りの幻想的な白い花を咲かせる、カラスウリ。その情熱の根源を知るためにも、来年の夏まで待つことにいたしましょう。

秋のシーズンコレクション

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2024.11.29 三越カルチャーサロン1日講座開催

今期の三越カルチャーサロン1日講座は、今野亮平の代表的なデザインをクリスマス特別デザインでお届けいたします。

『フォレスト』

■11月29日(金)14:00~16:00

■日本橋三越本店 新館9階

この時期にピッタリな色合いと、香りも楽しめるコニファーを使い制作していただきます。

参考サイズ:W16×D16×H55㎝

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ワクワク夏のキッズセミナー2024 大盛況!

毎年夏休みの時期に行っている「ワクワク夏のキッズセミナー」

今年は60名以上の方々にご参加いただきました。

たくさんの花材や資材の中から、好きなお花などを選んで作っていくので、出来上がりは一人一人の個性が光る作品に仕上がっていました。

それぞれのこだわりが見える作品。

初めて参加するお子さんも、楽しく参加していただきました。

来年の開催もお楽しみに!

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【コラム】十月 寒露 十三夜

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.20 》

深まる秋

 秋のお彼岸も過ぎて、今年は108日から二十四節気の「寒露(かんろ)」に入ります。露が冷たく感じられる頃、冷たい露が野草に付く頃という意味で「寒露」とされています。また、露が冷気によって凍りそうになる頃ともいわれて、草木の露が冷気で霜になりそうな様を表す言葉です。朝晩は冷え込みが増して、一日一日と、深まる秋が感じられる時季となります。

 そんな寒さが感じられる寒露ですが、また空気が澄んで秋晴れの過ごしやすい日が多くなる時節でもあります。透き通るような青空から、木漏れ日を浴びながら雑木林を歩いていると、木々の葉が色づき始めていることに気づかされ、道端に舞い落ちた枯葉を手にすることもあるでしょう。

十三夜の月

 この季節、やや寒の夜道を帰るときに夜空を見上げると、くっきりと輝く月が目に飛び込んできます。誰もが詩人になれる瞬間ではないでしょうか。

中秋(旧暦815日)の十五夜にお月見をする風習は、中国唐代の観月の宴が起源とされています。この宴が平安時代頃に日本に伝わり、貴族が十五夜を鑑賞するようになりました。一方、日本では旧暦913日の月(十三夜)も美しいとされ、十三夜もお月見をするようになり、この風習が庶民に広まったのは江戸時代です。

十五夜の月は満月ですが、十三夜の月は満月になる前で少し欠けていて、満月ではありません。月が満ちる少し手前の風情を愉しむ、不完全なものに美を見いだす趣向に、日本の心を感じます。

「余白の美」、「不均衡の美」、「引き算の美」など、日本には、不完全の美学が存在します。その満たされない部分に、想像の余地を無限に与えてくれる美学です。十三夜は、月が満ちていく時を私たちに連想させ、不完全さの先にある美しさを想像する、そんな心の遊びを楽しめるでしょう。

十三夜も十五夜と同様に、薄(ススキ)などのお花やお月見団子、収穫した栗や豆などを飾ってお祝いします。なぜ薄なのか、と思ったことはありませんか?『枕草子』には「秋の野のおしなべたるをかしさは、薄こそあれ。」(清少納言)と書かれているように、古来、薄は秋の風雅を色濃く伝えるものとして、数多くの歌や美術の題材となってきましたが、それ以上に薄は、稲穂の代わりとして豊作を祈願し、月の神様をお招きする依り代(よりしろ)としての役割を果たして飾られているのです。

野紺菊

 十三夜を眺める足元では、すでに野菊が咲き始めています。秋のおだやかな晴天の下、野原や公園の林などで清楚な花をつける野菊は、少し空気がひんやりしてきた今の季節にふさわしい花です。小説などでも知られる野菊ですが、野菊という名の菊はないのです。野菊とは自生のキク科の花の総称で、写真の野紺菊(ノコンギク)や嫁菜(ヨメナ)、紫苑(シオン)など、とても多くの種類があります。この小さな野菊を飾ると、十三夜と同じにロマンチックな気分がいや増します。

さて今年の十五夜は、917日、十三夜は1015日です。まだ間に合うでしょうか?十五夜と十三夜の片方しか月見をしないと「片月見(または片見月)」として縁起が悪いという言い伝えもあるようなので、深まりゆく秋を月と薄と野菊で、ワインや冷酒を楽しんでみてください。

秋のシーズンコレクション

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「ダイアナ ゴールデンプロポーションアワード2024」エントランス装花


横浜アリーナで開催された株式会社ダイアナ様のイベントにて、幅10mのメインディスプレイを担当しました。

高級感とエレガンスを兼ね備えたデザインで、来場者をお迎えする空間を華やかに演出。お花ならではの繊細で美しい装飾が、イベントの特別な雰囲気を一層引き立てています。

2年ぶりの担当ということで、ご来場の皆さんの熱意もひとしおだったと思います。
多くの参加者の方にお花の力をお届けし、また皆様の笑顔から明るいパワーを頂けたイベント装飾となりました。

弊社では、イベントの装飾や店舗などの装飾も承っております。お客様のご要望に合わせたカスタマイズが可能ですので、ぜひご相談ください。

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