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【コラム】3月 ホワイトデーには白い薔薇を

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.25 》

 三月は、和風月名で「弥生(やよい)」で、「弥生」の語源は「木草弥生月(きくさいやおいづき)」=「木や草がますます生い茂る月」という説があります。寒さが和らぎ、草花が芽吹いてくる様子を表した言葉で、三月の季節感にぴったりです。そんな華やぎ始める3月の14日は、ホワイトデー。バレンタインデーから1か月後のこの日は、バレンタインデーにチョコをもらった男性が、女性に対してお返しをする日とされてきました。ホワイトデーは日本が発祥のイベントです。明確な起源については諸説あるものの、昭和の後期に、バレンタインチョコのお返しをするイベントとして日本に誕生しています。「バレンタインデーには、赤いバラを」ならば、「ホワイトデーには、白いバラを」と、白ばらを贈ることは、愛の返礼にふさわしいプレゼントではないでしょうか?前回のコラムに書いたように、ギリシャ神話では、白いバラは女神アフロディーテ(ビーナス)と共に誕生しています。そして赤バラは、愛したアドニスの悲鳴を聞きつけたアフロディーテが、茨で傷つけた素足の血で白いバラが赤いバラに染まったといわれています。

赤バラの情熱的な「愛」に対し、白バラは「純潔」、「深い尊敬」、「相思相愛」などの花言葉を持っています。それは、キリスト教での「白いバラは聖母マリアの純潔と処女性を象徴」から生まれてきたのです。左の絵画(サンドロ・ボッティチェッリによる『聖母子と少年聖ヨハネ(バラ園の聖母)』ルーブル美術館所蔵)のように、マリアがバラの花に囲まれていたり、バラの花を持っていたりする描写に、この関係を見ることができます。

このバラ園の聖母では、背後の白い薔薇が聖母の純血を、赤い薔薇が殉教者キリストの血を象徴していると、解説に書かれています。日本でも古来より白は神聖な色とされており、神主や巫女などの聖職につく人たちの装束や花嫁が着る白無垢など、穢れなき色として文化と密接に関わってきました。

 白は色味を持たない無彩色。光をすべて反射し輝くような眩しさを持つ白は、どんな色にも染まっていないからこそ、どんな色とでも組み合わせることができるのです。
このように、最高の純粋さと無垢さを象徴する白いバラは、誠実で無条件の愛を表現するためによく使用されます。白というと、ウエディングドレスを思い浮かべますが、白のウエディングドレスが一般的になるのは、1840年のヴィクトリア女王の結婚式です。21才の花嫁ヴィクトリアは、自らデザインした真っ白なシルクのウエディングドレスに、フランス製シルクのベールをあしらい、王冠の代わりにオレンジの花冠をかぶり、白バラのブーケを持つ、可愛らしい姿でした。

その初々しい姿は、ヨーロッパはもちろんのこと、世界中を魅了し、その白いウエディングドレスファッションは、世界の流行となりました。(左図は、花嫁ヴィクトリア女王の肖像画)白いバラは、単なる愛の象徴であるだけでなく、この世のものとは思えない、神聖で、時代を超越した愛を表しています。ホワイトデーに贈るのに、最適な花ではないでしょうか。

ホワイトデー・お返しギフト特集

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