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【コラム】弥生三月、優しい光に包まれて

《 Belles Fleurs Tokyo フラワーデザインコラム vol.13 》

桃色三月ともなると、日中の気温もだんだんとあがり、冬から春へと移り変わります。別名は、「弥生(やよい)」とも呼ばれていて、由来は草木が生い茂り始める様を表わす「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」が短くなり「やよひ」となったという説に、なるほどと思います。

そんな命が芽吹き始める三月には、優しい風物詩が幾つもあります。ひな祭、卒業式、ホワイトデー、春彼岸、春一番、そして桜の開花など。

三月三日は、五節句のひとつ上巳(じょうし)の節句あるいは桃の節句、ひな祭りです。古代中国では邪気や穢れが身体に入りやすい日とされ、平安時代の日本では、厄払いを紙や草木で作った人形(ひとがた)で体をなで、それを川に流すという方法がとられました。ひな祭りの原型ともいわれる「流し雛」に似たこの風習は、紫式部の『源氏物語』にも描かれているほど古くからあるものです。

そして同じ頃、貴族の幼い女の子たちは紙で作った人形を「ひいな(雛)」と呼び遊んでいました。この「ひいな」遊びが、「人形(ひとがた)」と長い年月を経て結びつき、「上巳の節句」はひな人形を飾って女児の成長と健康を願う「桃の節句」へと変わり、ひな祭の起源となりました。

菱餅ひな祭りの起源の「上巳の節句」では、厄払いとして供物を奉納したり、縁起のよい物を食べたりしました。ひな祭りにも縁起の良い食べ物がいくつかありますが、「菱餅」と「ひなあられ」の話を。

□菱餅:3色のひし形に切った餅は、緑には“健康・長寿”、白には“清らかさ”、紅色には“魔除け”の意味がこめられています。

□ひなあられ:桃・緑・黄・白の4色の場合は四季を、白・緑・赤の3色の場合は雪や木々の芽吹き、命を意味していて、1年を通して娘の健康と幸せを祈るという意味がこめられています。

親心がつまった「桃の節句」は、優しい光に包まれています。

ひな祭と同じ3月の14日は、ホワイトデーです。バレンタインデーからちょうど1ヵ月後、チョコのお礼として、男性から女性にお菓子や花などのプレゼントを贈る日とされています。ホワイトデーは日本発の行事です。バレンタインデーは古代ローマが起源とされていますが、ホワイトデーは、お菓子の販促活動として日本で誕生しました。その始まりは所説あり、不二家とマシュマロメーカーのエイワの共同キャンペーン説、福岡の老舗菓子店説などが知られています。

薄桜昔は「バレンタインの3倍返し」なんて言われていたホワイトデーのプレゼント。相手との関係性によっても大きく変わりますが、なんとも頭の痛い問題で、今でも男性諸氏を悩ませる問題なのでしょう。

春三月、あとは桜の開花を待つだけです。お花見のお菓子「三色団子」の秘密も教えましょう。緑、白、ピンクの三色は、「積もった白い雪の下に緑色の新芽が芽吹き、雪が解けたら春になって花が咲く」という物語が込められているそうです。本当に日本の春は、優しい光に包まれていますね。

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